sobayanoyutoの蕎麦道楽日記

大好きな蕎麦で遊んでいます

蕎麦に纏わり~日本最古の仏法官寺「四天王寺」の参道にあるきちんとした仕事のお蕎麦屋さん

 小生が食べ歩いたお蕎麦屋さんの中のお気に入りです。小生は趣味でそばを打ちますので,どうしてもそばそのものや汁に関心が向かってしまい,天ぷらや鴨などの種物,お酒やアテなどの料理についてはあまり紹介できないかもしれませんがご容赦の程。また,内容はすべて訪問した当時のものであり,現在も変わりないかどうかはその都度確認していませんので悪しからず。

 №6 四天王寺 はやうち (大阪府大阪市) 

 

 大阪市の南の玄関口である天王寺のJR天王寺駅から,日本有数の高さを誇るあべのハルカスビルを背にして北へ徒歩で10分程,聖徳太子ゆかりの四天王寺の石の鳥居を横目に見て参道を進むと,白い暖簾とひらがなで「はやうち」と書かれた縦長の大きな木の看板が印象的な「四天王寺 はやうち」があります。

 開店時間の10分程前に到着したところ,すでに先客が10人ほど待っていましたが,お店の前には待ち客が名前を書くボードが出されていて,じっと並んでいる必要は無く,また,時折,店のスタッフがメニューを持って出てきてはテキパキと説明をし注文を聞いてくれているようでした。

 お店の入口横の窓からそばを手打ちしている様子が見えましたが,ちょうど最後の切りの工程で,なかなかのスピードで包丁がやや前にスライドしながら切り落とされ,一人前ずつ計量された麺がそば紙に包まれて生舟に整然と積まれて保管される様子が見えました。きちんとした仕事ぶりだなあと感じました。

 お店の間口はそれほど広くなく,奥に向かって木のカウンター席が6~7席,奥に四人掛けの木のテーブル席が2卓(合計14席)とこじんまりとした感じで,入口や中の壁・床を含めて全体的に木がふんだんに使われておりどこか懐かしさを感じる落ち着いた空間になっていました。カウンターには日本酒や焼酎などの一升瓶がずらりと並び,夜の営業もさぞかし賑やかなのだろうと思いました。

 今回は,初めての訪問でもありましたので,細挽き蕎麦と粗挽き蕎麦のせいろを一枚ずつとお願いしていましたが,席に腰かけてからは出されたそば茶を一口すすって待っていますと,程なく,まず細挽き蕎麦のせいろから提供される旨が告げられて,同時に薬味とそばつゆの入ったそば猪口と追加用のつゆの入ったそば徳利が出されました。そば猪口にはそばつゆが1センチ程度入れられており,大阪では珍しいのではないかと思うような少量でした。大阪などでは,そばをそばつゆにつける際に,上品な言い方ではありませんが「どぶづけ」といって,そばをそばつゆに全部浸して食べる習慣もありますので,そば猪口に入れられていたつゆの少なさにややびっくりしたのですが,つゆを少しだけなめてみると鰹出汁のよく効いた濃い黒色を呈し奥深い感じのつゆで,このつゆであれば,江戸風にそばを少しだけつゆにつけて食べる方が合うだろうと思われました。

 

細挽き蕎麦のせいろ(外一,小生の影が入り込みました,すみません)

 待つほどもなく,細挽き蕎麦のせいろが,長角そば箱とでもいうのでしょうか,長方形の木箱に平らに入れられて提供されました。いわゆる外一で打たれたものということでしたが,そばは細からず太からず,断面は真四角のような感じで,薄茶色を呈し,ホシは見当たらず,ツヤツヤとした瑞々しい光沢を放ってすっきりとした感じでした。2,3本を箸でつまんですすりこむと,いわゆるそばの角が立っていて,やや噛むことを求められるしっかりとした食感で,舌触りは滑らかで,かすかに甘みも感じられ,また,最初はそばの香りは薄いかと思いましたが,飲み込む際にはそばの清々しい香りが感じられました。さらに,濃厚なそばつゆに軽くつけてすすりこみますとつゆとの相性は良く風味の広がりを感じました。

 

粗挽き蕎麦のせいろ(二八)

 細挽き蕎麦のせいろを食べ終わって箸を置くと,スタッフに告げるまでもなく,すぐに器が下げられ,程なく,粗挽き蕎麦のせいろが,薄茶色の細竹で編まれた高台付きの蕎麦ざるで山高に盛られて提供されました。こちらは玄蕎麦の挽ぐるみをいわゆる二八で打たれたものとのことで,細挽きに比べますと,やや太めで,そばの茶色がやや濃くなり,ホシも所々に見えます。表面も瑞々しい光を放ってはいましたがややごつごつとした感じがしていました。これも2,3本を箸でつまんでみますと,長さは細挽きに比べてやや短かかったものの,もちあげただけで切れるようなことはなく,さらに口中に手繰り入れますと,口に入れた瞬間からそばの穀物感のある香りが感じられ,そばの味も濃い感じで,舌触りとしては少しのざらつきもあります。細挽きよりも噛むことを求められますが歯抜かりするようなことはありません。先ほどのそばつゆをそば徳利からそば猪口に追加して食べてみますと,細挽きのそばよりも少し多めにそばつゆをつけた方がつゆの濃厚さと粗挽きそばの風味の両方が引き立つようでした。食べ終わりますと,すぐに,そば湯が小ぶりの木製の湯桶に入れられて提供されましたが,先ほど来のそばつゆと合わせると,つゆの香りが立ち上がり,トロリとした感じと共に美味しくいただきました。

 最近は使っているそば粉の銘柄や産地を店の内外に貼りだしているところが多くなりましたが,このお店はそのようなものはなかったため,ランチタイムでバタバタしているのは見て取れましたが,恐る恐る産地を聞いたところ,店主と思しき男性から北海道富良野産との説明を聞きました。

 お店のホームページによりますと,店主自らそばの産地に出向いてそばの実の出来栄えを確認して仕入れ,真空状態にして保管し,そばに応じて石臼で挽き分け,また,打ち分けて提供しているとのことでした。

また,他のそばのメニューとしては,定番の辛み大根,とろろ,鴨汁,天ぷら系があり,大阪ではやや珍しい花巻きなどもメニューに載っていたほか,他にも左党用の定番や一品料理などもあり,また訪問してみたいと思いました。

 お店のデータ

・電話番号 06-6773-2858

・住 所 大阪府大阪市天王寺区四天王寺1-12-6 

・アクセス JR大阪環状線天王寺駅」より徒歩10分程度,大阪メトロ谷町線四天王寺夕陽丘駅」より徒歩3分

・営業時間 昼11:30~15:00 夜17:30~21:00(月・火・水曜日除く)

・定 休 日 水曜日

・個 室 なし

・席 数 14席(カウンター6席,テーブル席(4人掛け)卓)

・駐 車 場 なし(と思われる) 

・煙 草 禁煙

・アルコール有

・店のホームページ あり