sobayanoyutoの蕎麦道楽日記

大好きな蕎麦で遊んでいます

おそば屋さん食べ歩き~繊細なそばと豊富な一品で蕎麦の世界を広げるおそば屋さん「蕎麦ふくあかり 神戸市」

    蕎麦で遊んでいます。今回は「おそば屋さん食べ歩き」です。
 小生が食べ歩いたおそば屋さんの中のお気に入りです。小生は趣味でそばを打ちますので,どうしてもそばそのものや汁に関心が向かってしまい,天ぷらや鴨などの種物,お酒やアテなどの料理についてはあまり紹介できないかもしれませんがご容赦の程。また,内容はすべて訪問した当時のものであり,現在も変わりないかどうかはその都度確認していませんので悪しからず。

№13 蕎麦ふくあかり(神戸市東灘区御影)

 

「蕎麦 ふくあかり」正面です 2023.12初旬訪問

 大阪の阪急電鉄大阪梅田駅から神戸線で約15分程の阪急御影(みかげ)駅で降り,北改札口を出て小さな駅前ロータリー横の陸橋を渡り終えると駅からは3分程で,3階建てと思われるあまり大きくはないビルの1階に「蕎麦ふくあかり」があります。北改札口側はコンビニや会社の建物などはあまり見当たらず静かな雰囲気です。
 お店の正面は,間口はそれほど大きくありませんが,コンクリートと大きな窓と木の1枚扉に渋いよもぎ色様の大きめの暖簾が風に揺れ,すっきりとした感じがします。扉の前に「新そば 打ち始めました」と白紙に大書されたお知らせが出されており新そばのシーズン到来を告げていました。

 関西の方は御承知の方も多いと思いますが,現在の御影は高級住宅街として知られ,花崗岩の別名「御影石」の語源となった地でもあり、さらに,江戸期以後は酒造地(よく「灘の生一本」などといますが。)としても知られ,現在も,関西の有名酒造メーカーが何軒かあります。

 お店の開店時刻5分ほど前に到着したところ,先客はおらず,開店時刻になるとスタッフが暖簾を出し,そのまま招き入れられました。その後すぐに続いて他の客が何組か入ってきましたので人気店のようでした。
 お店の中はこじんまりとした感じでしたが,お店の広い窓から細い道一本を挟んで向かい合う深田池公園を見上げる形になり狭さを感じさせず,自然光がたっぷりと入る中で,雰囲気はいわゆるお蕎麦屋さんの和の雰囲気というよりはむしろ街の小さなレストランという雰囲気で,入って左側の調理スペースと対面する形でカウンター席が5席ほど,右手にテーブル席が3台(合計10席ほど)あり,店内は全体としては木調の落ち着いた雰囲気を醸し出しています。

 メニューを眺めますと,冷たいそば,冷かけ・ぶっかけそれに温かいそばの各ジャンルごとにそれぞれ7,8種類程度の品書きが並び,また,蕎麦前,天ぷらなどの揚げものや甘いものの各ジャンルごとにこれもそれぞれ5~6種類以上の品書きが並び、そのいくつかは写真付きで載っていました。さらには,お酒のメニューも充実しており、予約が必要とのことですが,コース料理のようなセットメニューや本格的な一品料理が提供される懐石風もあるとのことで、おそば屋さんとしては非常にメニュー数が多くそのどれもがどことなく上品で洗練されている感じがしました。
 加えて,午後2時からは「茶房福灯」という店名で暖簾も朱色に変わり,蕎麦との関係を保ちつつも,甘味やお茶・抹茶関係のメニューを中心とした形態になるとのことで蕎麦を基本としつつもそれを超えた広がりのある世界を提供しようとしているのだろうと思いました。

 

「卵焼き」と「桜エビのかき揚げ」です

 小生は,メニューの多さに迷いつつも,初めて伺ったお店でもあり,まずは「せいろ」を,併せて,日本酒(お昼のことでもありほんの少しだけです。)と蕎麦前に卵焼きと桜エビのかき揚げをお願いしました。待つほどもなく,お酒と蕎麦前が提供され,卵焼きはそば屋さんらしい出汁の効いたふんわりとした卵焼きで,かき揚げは丸いボール状に揚げられサクサク感たっぷりの見た目にも美味しいかき揚げでしたが,どちらにも大根おろしがたっぷりと添えられており,器にも配慮が感じられ,お酒にもよく合いました。

 

「せいろ」です 新そばの薄緑色がよく分かります ホシは見当たりません

 新そばの十割とのことでしたので,「せいろ」を楽しみに待っていますと,蕎麦前があらかた片付いたころを見計らうようにタイミングよく提供されました。新そば特有の薄緑色につやつやと輝くそばが竹を編み込んだ厚めの笊に山高に盛られていました。そばは細切りで長さも十分にあり,スタッフの方が塩で食べるのを進めてくれましたが,2,3本をお店の名前が入った細めの箸でつまんでそのまま口中に入れますと,草木系のそばの香りが感じられ,歯に当たるところでフツリと切れて,するりと喉に落ちていきます。十割ということでしたがそばの質感としてはやや上品かなと思いましたが,続けて何回かそばだけでいただいてしまいました。
 このそばに塩は角がきつすぎるように思いましたので,そば猪口に少な目に入れられていたそばつゆでいただくことにして,そばつゆを一寸舐めてみますと醤油感は柔らかく出汁や甘みも控えめで非常にバランスの取れた上品なそばつゆでしたので,このそばにはこのつゆがよく合うのではないかと思い軽くつけて食べてみますと,つゆがそばの風味を引き立たせてくれて美味しくいただきました。この後,そば湯が提供されましたがとろみもありそばつゆと合わせていただきホッとする感じがしました。
 付け加えますと,薬味の白ねぎの切り方がやや独特かなと思います。すべて輪になっていないのです。縦に切れ目を入れてから刻んでいるのだと思いますがそば屋さんとしては少数派かもしれません。

「花巻そば」です 鉢一杯の海苔がうれしいですね

「かけそば」です 中身がよく見える透明感のあるつゆです

 これも,初めて伺ったお店の際によくいただくのですが,何か温かいそばを一つお願いすることにしています。冷たいそば用のそばつゆと温かいそば用のかけつゆの両方を味わいたいからです。
 この日は「花巻そば」をお願いしました。写真からみてお分かりのように,鉢一杯に広がったたっぷりの焼き海苔から香る磯の香りとそばだしの香りが合わさって食欲をそそります。昔からある定番ですが贅沢なそばです。中央に添えられた山葵の緑色が色彩的にもいいアクセントです。「せいろ」のそばよりは気持ちしっかりめのそばが口中で海苔の風味と混じりあい美味しくいただきました。「せいろ」のそばとは違うそばが使われているようでしたが,「花巻そば」ではそばの様子が分かりませんので,連れの頼んだ「かけそば」の写真も載せました。かけつゆはやや出しが効いていましたがバランスの取れた美味しいつゆでほとんど飲み干してしまいました。

 出かけに,お昼時で忙しそうにしているのが見て取れましたが,スタッフにそばの産地を聞きましたところ,中に聞きに行ってくれて,「せいろ」の方は広島県の『三次(みよし)産』,「花巻そば」の方は『群馬県』の常陸秋そば(ひたちあきそば)と聞こえました。なお,『 』の中はそのように聞こえましたが自信がありませんので悪しからず。
 店主はまだ若そうに見えましたが,有名店で修業を積まれた方と聞きました。メニューの数も幅も豊富で,基本となるそばは繊細で上品であり,今後が楽しみなおそば屋さんでした。

 

 (お店のデータ)

・所在地等 神戸市東灘区御影山手1丁目4‐20 ℡078-767-0810

・営業時間 昼 11時30分~14時30分(火~日)
      夜 17時30分~20時30分(土・日)
        木・金曜日の夜は、完全予約制の夜営業

      定休日 月曜日

 ・茶房福灯(蕎麦・茶房・甘味処 場所は同じ)

 ・営業時間 14時00分~17時00分(火~金)

・席数 14~15席程度かと思います 

・交通 阪急電鉄神戸線 御影駅から徒歩約3分